スリフティングって何?

スリフティング(thrifting)】

原宿洋服再生プロジェクトの阿知良(あちら)
原宿洋服再生プロジェクトの関(セッキー)

小哲津:スリフティングについてお聞きします。よろしくお願いします。

あちら:よろしくお願いします。

小哲津:自己紹介をお願いします。

あちら:原宿洋服再生プロジェクトの創設者2人です。僕があちらです。

関:僕が関と言います。

小哲津:よろしくお願いします。

あちら・関:よろしくお願いします。

小哲津:今回、原宿洋服再生プロジェクトで、「スリフティングとは何か」という特集なんですけど、スリフティングってほとんど聞いたことがない。スリフティングって何ですか。

あちら:僕らも最初はこれがそうなのかわからなかったんですが、たまたま店舗のほうに、お客さんから寄付されたものを置いていて、「これ、お直し代だけで差し上げてるんです」みたいな話をしたら、うちに来ている感度のいいお客さんが「これに相応しい特別な言葉があるよ」と教えてくれて、それで使うようになったんです。ニューヨークとかアメリカで普及しているというか、若い世代にはすごく定着してることらしいです。自宅で不要になったもの、「こんまり」とかそういうので今、結構断捨離をやるじゃないですか。それで不要になったものを家の前で差し上げるというのが、ニューヨークとかで結構あるらしいんですよね。

小哲津:規模はそんなに大きくもなく、自分の断捨離したものを「こんまり」したものを?

あちら:そうです。個人的に家の前のステップとかに自宅で要らないものを置いて、「よかったらどうぞ」と。「何かと交換するでもいいし、持っていくならある程度の寄付をしてください」というのがある。寄付をするとか、節約をするとか、質素な生活とか、そういう意味合いの言葉でスリフト(Thrift)というのがあるんです。スリフトショップ(Thrift shop)というのがあって、そこは人から提供してもらったものを安価で買ってもらって、そのもらったお金を慈善団体とかに寄付するという活動。こういうのが結構アメリカで浸透しています。そのスリフトショップで、ものを買うとか寄付するという活動をスリフティング(Thrifting)という言い方をしている。

小哲津:アメリカの言葉なんですね。

あちら:そうみたいです。

【次のオーナーを探していたら】

小哲津:今、原宿洋服再生プロジェクトをやりながら、あちらさんがお仕事としてやっている直しのところでは、要らなくなった洋服をお店に置いていくお客さまのお品物を直し代だけでお譲りしていたりするんですね。

あちら:そうです。次のオーナーを探してお譲りしています。

小哲津:それ自体が、自然にやっていたスリフティング活動だったってことを、お客さまが教えてくれたわけ。

あちら:そうなんです。その活動に対しての名前がなかったものに、お客さんが付けてくれたというのが発端です。僕らは古着屋さんじゃないから、そのものに対してお金を出して買ってもらうものじゃない。売買できる立場じゃない。だからこそ「タダであげるから、お直し代だけください」という、まず始まりはそういう形です。

小哲津:そもそも、お客さんの服を循環させようみたいなのは、関さんのどういう心持ちからですか。

関:何から始まったんでしたっけ。最初はビックサイトで開催していたサスティナブル展を観たときじゃなくて?

あちら:でも、それも始まりの1つだよね。でも、その前は、結局ものがあふれているところに対して、かたや僕らのお直しやさんで何回も直して着ている人もいるのに、ワンシーズンで捨てる人もいるし、これって何なんだろうと常に疑問に感じていた事です。そこが発端だとは思います。もったいないなと。だったらということで、来ているお客さんに聞いたら「家には着てないものが結構あるよ」という話も出たので、一度、こちらに持ってきてくれれば僕らが分別します。お直ししますか。それとも、これはもう要らないですか。極端なところは、その2択からです。そこから先は僕らのほうでどうするか。寄付するのか、次のセカンドオーナーを探すのか、そういうことで循環させてきますという流れに自然になっていった感じです。

小哲津:洋服を捨てるぐらいだったら、直すか、どうするか。「持ってきてください」みたいなのを、ちょこっとやり始めてはいたと。

あちら:そうです。

小哲津:洋服って、めちゃ捨てられていますものね。今、世の中で。

関:らしいですね。

あちら:調べてくと、そうですよね。

小哲津:はい。とんでもない数がつくられて、とんでもない数が捨てられて。

あちら:それがファストファッションというものですよね。

小哲津:はい。

あちら:そのトレンド自体が恥ずかしいことになってきてるのかなと、ちょっと感じてはいますよね。

小哲津:若い人のほうが正直そんなに踊らされてないというか。音楽の世界でも、山下達郎とか、ああいうのを若い人が今シティポップと言って普通に聞くというか。流行りだ、流行りじゃないかは、あまり関係なくなっている。

あちら:80年代ぐらいの曲とか90年代の曲を聴き始めていますね。

小哲津:はい。ネット上においては全部。これは小さなエピソードですけど、テレビで歌がうまい中学生が出てきたら、薬師丸ひろ子の『セーラ服と機関銃』とかを歌ってますからね。何でも新作主義みたいな、gloveが新作を出したとか、ラルクアンシエルが新作を出したとか一番CDが売れていたときは、新曲が売れてたけど、今の時代は古いものでも普通にみんな聴く感じがあるみたいです。

 洋服は新作をつくったら捨ててるというところがありますから。

あちら:まだ、そういう業種ですよね。

【良い洋服を循環させる】

小哲津:原宿洋服再生プロジェクトで、スリフティングで、これぐらいのことができたらいいなみたいな、何か理想みたいなものはありますか。

あちら:メーカーが今まだ大量につくって、それを焼却したり処分したりしているのを、「焼却するぐらいだったら僕らのほうで循環します」となれればとは思います。そこまで行ければ勝ったかなという感じは、あるじゃないですか。「無駄にしないんです」というところですよね。

小哲津:関さん、何かありますか。スリフティングがこうなったら楽しいなというか。

関:安すぎないというか、全体的に洋服のクオリティが高くなり縫製のレベルが高い、適正賃金で生産された品物が増えていけばいいと思っています。

小哲津:循環する洋服自体が、良いものが循環するような。

関:それもそうです。そうなれば、より循環してくれる人が増えるような感じ。今はどっちかというと若い人たちが面白がって乗っかってくれていますが、もう少し40代の人も内容がクラシックなものでもいいし、バーバリーなどのブランドものが循環するようになると、よりいいのかなという気はします。

小哲津:要らないものだけを回しているよりは、大事だったものを回す気持ちがあると、ずいぶん変わるかもしれないですね。

あちら:そうですね。そういうものしかつくられなくなったら、いいですよね。

小哲津:確かに。いいと思うものをつくって、いいと思うものを回せればいいですよね。

【スリフティングイベントを予定】

原宿スリフティングを共同開催しますRationaloopの田村さんと吉成さんと原宿洋服再生プロジェクトの面々

小哲津:原宿洋服再生プロジェクトでは、スリフティングイベントを新しく始めるということですが、名称は。

あちら:原宿スリフティングというのはどうかなと思っているんです。

小哲津:ほう。それは新イベントで、いつの予定ですか。

あちら:2月後半には予定しています。土日かなということで、26~27日辺りを考えています。今までも常設で1ラック置いているんですが、もうちょっとこれをいろんな人に知ってもらえればと思うので、そういうイベントをまずは1回やってみようと。

小哲津:では、概要をこの記事のところにも貼りまして、お金も入場料を払えば、どなたでも参加いただけるかたちにしていこうと思っていると。

あちら:はい。

小哲津:今日は以上になります。ありがとうございました。

あちら・関:ありがとうございます。

【原宿スリフティング】2/26㈯27㈰開催決定! 概要はこちら

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