旦那様のスーツを奥様が。

『紳士物スーツを私が着れるようにお直し出来ますか?』と問い合わせがありました。

何度も仕立て直した実績が有ります。お見積り無料ですのでどうぞお持ちください。そうお伝えしてご予約いただきました。

当日持ち込まれたのはジョルジオアルマーニのスーツ。

クリーニング済でしたが肩パットが強調されたかなり昔のデザイン。

あまり着用された形跡もなく綺麗なお品物です。

お持ちになったお客様が着用されるとの事ですがお客様のサイズ感が7号サイズ。

持ち込まれたスーツは52サイズ(XL)でかなり90年代のワイドなシルエット。

旦那様がイタリア駐在中に現地で購入されて着用されていた思い入れ深いお品物との事。

旦那様はもう着ないそうです。

このままサイズダウンお直しで着られるレベルではない。

どうしたものか…。

とりあえず着ていただくことに。

パンツは90年代のシルエットらしく2タックのズドンとしたシルエットです。

女性が着られるならワイドパンツにしませんか。そんな提案に快諾いただき、ウエストの差寸法にどうしようかと。14cmも詰めなくては…。フロントタックをかなり深く寄せて後ろ中心からも相当な分量詰めてヒップのくり入れもハイウエストのレデイースパターンに書き直して、なんとか出来そうです。

ジャケットは肩周りと身幅はなんとか合わせていけるかと。

腕周りを女性っぽく見せるために身頃のアームホールをかなり詰めることに。

肩から摘んで上襟も付け直して上から引っ張るようにします。

幸いVゾーンも深いので狭くなるのは好都合。

問題は着丈です。長すぎるのです。

そこで提案のパンツが股上の深いワイドパンツシルエットにするのでジャケットは着丈の短いコンパクトなスペンサージャケット風にしませんかとご提案。

面白そうですね。でも中々イメージが伝わらない様子。

一度仮縫い入れてよりイメージが伝わるようにご提案差し上げました。

但し、着丈は下からカットしてしまうので元には戻せない旨ご了承くださいと。

背中で襟下から測ってバランスの良い丈を決めます。

あらら。脇ポケットが無くなってしまう。ポケットどうしましょう?

女性物は脇ポケットの無いデザインもあるので気になりませんとの事。

フロントボタンはどうしましょう?2つにしますかこのまま3つにしますか?

全体のイメージを左右するデザインなので仮縫い上がりを見てVゾーンの深さで決めたいですとの事。

以上を踏まえお客様の立ち姿も考慮して寸法を決めていきました。

仮縫い上がりを着ていただく。

ジャケットはかなりイメージがお客様に伝わったようです。

フロントボタンは3つのままでいく事に決まりました。

フロントのカットを角にするか丸にするか悩んだ末、丸カットに。

シルエットはヒップ周りを拡げつつウエスト位置を高くします。

袖のボリュームも良い感じ。

パンツは綺麗なラインで落ち感も良いので丈以外変更点無し。

出来上がりが楽しみです。

仕上がり品を着ていただく。

ジャケットの肩周りもスッキリと袖も女性らしく細身の袖になりました。

襟の収まりも良く初めからこんなデザインだったかのような綺麗なジャケットになりました。

ワイドパンツとも相性の良いスーツに生まれ変わりました。

ずっとタンスにしまっていたお品物でしたが思い入れが深く捨てられなかったのがリメイクにより生まれ変わったのでもう一着増えた気分と大変喜ばれました。

ょっとしたディナーなどに着ていけると喜んでいただけました。

さて、旦那様はあの時のスーツと気付いてくれますでしょうか。

ありがとうございました。

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